気象と統計力学(Q4)

Q4.  理論の検証(3)と結論


(3) 2重構造

12)式と22)式によって、地域の年間降水量Qと年間降水量の揺らぎσ(Q)の比は、古典統計を示すパラメータSKを含む次の式になることが分かる。
$\displaystyle\frac{Q^2}{\sigma^2(Q)}=\displaystyle\frac{C}{2S_K}$            26)

図4.に、26)式の年間降水量の揺らぎσ(Q)と年間降水量Qの観測値を示した。実線は、26)式のC=60.19、SK=1.395としたものである。

25)式と26)式は、年間降水量Q、その揺らぎσ(Q)、年間降水回数C、年間降水日数A、の観測値から、SL=0.76646とすれば、SRとSkの値を求める式となっている。Skは、Cが一定なので、図4.の傾きとなって現れている。

表1.に25)式と26)式から求めたSKとSRを示す。17箇所の観測所の平均は、SK=1.4344、SR=1.658である。理論値はSK=1.395、SR=1.652であるから、SRは理論値とよく一致しているが、SKが理論値と若干違っている。

この理由は系全体は量子統計を示すからであると考える。つまり、量子統計と古典統計では量子効果の取り扱いが違うと考える。量子統計では量子効果分は量子効果を持つが、古典統計では量子効果を持たないと考える。

その比は、
$\displaystyle\frac{1.1974}{1+\displaystyle\frac{0.1974}{1.1974}}=1.028$
従って、26)式のQ2とCを同じとして、σ2(Q)が大きくなったとすると、
$1.395*1.028=1.434$
となって観測値と一致する。

系が量子統計をしていることを次に示す。

各観測所の年間平均降水量が、系全体の揺らぎの結果であるとして、26)式と表1.からC=60.19、σ(Q)=426.8、Q=1824としてパラメータSKを求めると、
$S_K=\displaystyle\frac{60.19}{2}\displaystyle\frac{426.8^2}{1824^2}=1.648$
ほぼ量子統計の1.652となっている。系全体の平均値の回りに、系の揺らぎの結果として、各観測所の平均値がいくつも現れると考えられる。

系が二重に揺らいでいると考えてみる。17箇所の観測所の過去15年間の255個全ての年間降水量の揺らぎを調査すると、
$\sigma(Q)=601.86$
であった。601.86と426.8の差175.06の揺らぎを生じるときの降水量は26)式よりC=60.19、σ(Q)=175.06、SK=1.652として、
$Q_2=175.096\sqrt{\displaystyle\frac{60.19}{2*1.652}}=747.2$
従って、系全体のパラメータSKは26)式よりC=60.19、σ(Q)=601.86、Q=747.2+1824として、
$S_K=\displaystyle\frac{60.19}{2}\displaystyle\frac{601.86^2}{(747.2+1824)^2}=1.649$
ほぼ量子統計の1.652であり、系は量子統計で揺らいでいることが分かる。また、747.2kg/cm^2は観測されていないから、系の揺らぎの中心の周りに地方の揺らぎの中心がいくつも現れて、系は量子統計の揺らぎを示すことが分かる。全ての年間降水量の観測値は揺らぎの結果だと考えることができる。

系の降水と大気のエネルギーの比SLがAとCの比を通してSRとSKとなって現れ、各観測所の年間降水量の揺らぎは、古典統計と量子統計の2重の揺らぎとなる。また、系の揺らぎの中心の周りに、各観測所の揺らぎの中心がいくつも存在する。付論後編に、各降水量レベルの揺らぎが、各観測所が古典統計の揺らぎを、系全体が量子統計の揺らぎを示し、系は2重で揺らいでいる、あるいは2重構造となっていることを示した。


8. 結論

降水と大気のエネルギーの比を含んだ新しい力学系を設定し、3個のパラメータSLとSR、及びSKの関係を導き、降水量の揺らぎを解析して次の結果を得た。

1) 降水現象は降水と大気で構成された平衡系の現象である。
2) その系は大気と降水のエネルギーの比を持っている。
3)  AとCは系全体で一定である。
4) エネルギーの比SLはAとCの比を介して2種類のパラメータSKとSRとなって現れ、SKとSRは共存している。
5) 系の全ての年間降水量の観測値は、系の揺らぎの結果と考えてよい
6) 系全体の年間降水量の揺らぎは量子統計の揺らぎを示す。
7) 地域の観測所の年間降水量の揺らぎは古典統計の揺らぎをを示す。
8) 系の平均年間降水量の揺らぎの中心の周りに、いくつもの地域の平均年間降水量の揺らぎの中心が存在する。
9) 降水と大気のエネルギーの比SL、及び、降水量のパラメータλを用いると、中国、四国、九州の地域は沖縄も含めて、巨大な一つの平衡系と考えてよい。


9. 謝辞

毎日毎日同じことを考えて、一つずつ命題を積み上げていく。心と体が壊れてしまったからだが、この機会を得たことに感謝します。

また、この本論と付論を書くにあたり、査読の先生方には大変お世話になりました。ここに記して感謝の意としたいと思います。

更に、本論と付論の理論値と観測値がすべてにおいて上位3桁が一致した。これは観測値の正確性を意味する。各観測所の皆様の日々の努力と苦労にもお礼を申し上げます。
0

このエントリーをはてなブックマークに追加