気象と統計力学(R6)

R6 大気の量子効果及び結論

12.  大気の量子効果

(1) 大気中の窒素分子と酸素分子の理論的な比率

大気と降水のエネルギーの比量SLを大気に適用すると、自由度2の、2次元1方向、大気においても継続時間が短くなと量子効果が現れることを示すことができる。

まず、量子効果のある新しい力学系で、量子効果のパラメータSRから大気中の窒素と酸素の比率を理論的に求める。

大気の自由度は2だから、自由度1の大気を2個考え、大気は窒素分子と酸素分子で構成されているとし、1個の大気の窒素分子が量子効果となっていると仮定すると、大気の量子効果のパラメータSRは乾燥空気においてNN2を窒素の粒子数、NO2を酸素の粒子数とすれば次の定義である。
$S_R=\displaystyle\frac{N_1+N_2}{N_1}$
$N_1=2N_{O_2}+N_{N_2}$
$N_2=N_{N_2}$
従って、
$S_R=\displaystyle\frac{2(N_{O_2}+N_{N_2})}{2N_{O_2}+N_{N_2}}$          20)

20)式を用いると、量子効果のパラメータSRから、大気中の窒素と酸素の重量比が理論的に求まる。Qを大気の年間降水量、mを分子1個の質量、Mを分子量、Abをアボガドロ数とすると、
$N_{N_2}=\displaystyle\frac{Q_{N_2}}{m_{N_2}}$
$N_{O_2}=\displaystyle\frac{Q_{O_2}}{m_{O_2}}$
$Q=Q_{N_2}+Q_{O_2}$
$m=\displaystyle\frac{M}{A_b*1000}$
20)式より、
$\displaystyle\frac{Q}{Q_{N_2}}=(\displaystyle\frac{1}{S_R -1}-1)\displaystyle\frac{M_{O_2}}{2M_{N_2}}+1$
従って、MO2=32.00 g/mol、MN2=28.01 g/mol、SR=1.652とすると、
$\displaystyle\frac{Q_{N_2}}{Q}=0.7663$
$\displaystyle\frac{Q_{O_2}}{Q}=0.2337$
小倉の教科書の数値5)、窒素の比率75.527 wt/o、酸素の比率23.143 wt/o、ともよく一致する
$\displaystyle\frac{Q_{N_2}}{Q}=\displaystyle\frac{75.527}{23.143+75.527}=0.76545$
$\displaystyle\frac{Q_{O_2}}{Q}=\displaystyle\frac{23.143}{23.143+75.527}=0.23455$
また、窒素と酸素の重量比が求まると、大気の窒素と酸素の容積比が求まる。
$\displaystyle\frac{0.23337}{M_{O_2}}+\displaystyle\frac{0.7663}{M_{N_2}}=\displaystyle\frac{1}{M_x}$
左辺の各項はそれぞれの分子数であり、右辺は全ての分子数である。MO2=32.00、MN2=28.01とすると、Mx=28.85である。

大気が体積Vの容器に閉じ込められているとすると、分圧は体積に比例するから、
$\displaystyle\frac{P_1}{P}=\displaystyle\frac{V_1}{V}$
より、
$\displaystyle\frac{V_{O_2}}{V}=\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{0.2337}{32.00}}{\displaystyle\frac{1}{28.85}}=0.2107$
$\displaystyle\frac{V_{N_2}}{V}=\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{0.7663}{28.01}}{\displaystyle\frac{1}{28.85}}=0.7893$
この数値は、小倉の標準的な教科書6)の数値、窒素の比率78.088 vol/o、酸素の比率20.949 vol/o、ともよく一致する。
$\displaystyle\frac{V_{O_2}}{V}=\displaystyle\frac{20.949}{20.949+78.088}=0.2115$
$\displaystyle\frac{V_{N_2}}{V}=\displaystyle\frac{78.008}{20.949+78.088}=0.7885$
窒素分子を量子効果と考えると、量子効果のパラメータSRから大気の窒素分子と酸素分子の比率が理論的に求まる。

(2) 大気の中のエネルギーの比

大気の重量比が決まると他のパラメータの値SR、SL、ΔC/Cも大気の中存在することを示すことができる。
$S_R=\displaystyle\frac{N_1+N_2}{N_1}=\displaystyle\frac{2(N_{O_2}+N_{N_2})}{2N_{O_2}+N_{N_2}}$
$S_L=\displaystyle\frac{N_1}{2N_2}=\displaystyle\frac{2N_{O_2}+N_{N_2}}{2N_{N_2}}$
$\displaystyle\frac{\Delta C}{C}=\displaystyle\frac{N_2}{N_1+N_2}=\displaystyle\frac{N_2}{2(N_{O_2}+N_{N_2})}$
において、
$N_{O_2}=\displaystyle\frac{0.2337}{M_{O_2}}$
$N_{N_2}=\displaystyle\frac{0.7663}{M_{N_2}}$
として、MO2=32.00、MN2=28.01としてSR、SL、ΔC/Cを解くと次のとおりとなる。
$S_R=1.652$
$S_L=0.76695$
$\displaystyle\frac{\Delta C}{C}=0.1973$
理論値、SR=1.652、SL=0.76646、ΔC/C=0.1974とよく一致している。

自由度1の大気を2個考え、1個の大気の窒素分子を量子効果と考えると、大気中の窒素と酸素の重量比と容量比、及び、各パラメータSR、SL、ΔC/Cの値を理論的に求めることができた。従って、大気は自由度1の大気が2個で自由度2となっていること、2個の大気のうちの1個の大気の窒素分子が量子効果であること、エネルギーの比SLは大気の窒素と酸素の重量比と容量比に関係があると考えられること、が分かった。

(3) 大気の量子効果

次に大気の継続時間が短くなると量子効果が現れることを示す。

降水と大気の継続時間と降水量の考察から次の式が得られた。<x>は降水と大気の平均降水量、A1、A2は降水と大気の年間の平均日数、Cは降水と大気の一雨の年間の平均個数、SLは降水と大気のエネルギーの比、kθは比例係数である。21)式は降水の平均降水量と平均継続時間の関係を、22)式は大気の平均降水量と平均継続時間の関係を示す。
$\langle x_{H_2O}\rangle=k_{\theta}\displaystyle\frac{1}{2}S_L^2(\displaystyle\frac{(A_1}{C})^2$ 21)
$\langle x_{Air}\rangle=k_{\theta}S_L\displaystyle\frac{A_2}{C}$          22)
両式のkθを等しいとすると、<xH2O>=λ/2、<xAir>=λより、
$A_2=S_L\displaystyle\frac{A_1^2}{C}$
A1=121.75、C=60.40、SL=0.76646とすると、A2=188.1である。

従って、22)式より、
$S_L\displaystyle\frac{A_2}{C}=1.1935*2$              23)

大気は自由度1の量子効果が2個現れていることになる。本論前編で導いた自由度1の量子効果を2倍すればよいことが分る。23)式により、SLによって大気の継続時間が短くなると、量子効果が現れることが分かる。

(4) 理論的な降水日数Aと降水回数C

A2=188.1/2/SL=122.7はA1=121.75と若干異なっている。これはA1=365.25/3=121.75と置いたためである。降水と大気の継続時間と量子効果の考察によって、次の条件式が得られる。
$\displaystyle\frac{1}{2}S_L^2(\displaystyle\frac{A_1}{C})^2=1.1974$
$(\displaystyle\frac{A_1}{C})^2=\displaystyle\frac{A_2}{S_L C}$
$A_1+\displaystyle\frac{A_2}{S_L}=365.25$
これをSL=0.76646として解くと、降水と大気を同じ回数とした場合の、A1、A2、Cの理論値が求まる。
$A_1=121.0$
$A_2=187.25$
$C=59.93$
A2は、187.25/2/SL=122.25である。A1と若干違っているが、これは、大気の自由エネルギーがギッブスの自由エネルギーであり、降水がヘルムホルツの自由エネルギーのためである。降水が自由度1、大気が自由度2、であることを考慮して、
$121.0\displaystyle\frac{101325}{101325-920}=122.10$

補正すると、一致する。
また、23)式は、
$0.76646\displaystyle\frac{187.25}{59.93}=1.1974*2$
となって、理論値と一致する。

13. 結論

ボルツマンの平均エネルギーβと新しい力学系の平均エネルギーτの変換係数は約1/4500である。また、古典統計力学の平均エネルギーβと新しい力学系の平均エネルギーτ、古典統計力学系の標準大気圧Poと新しい力学系の圧力Pはそれぞれ2重構造となっている。

また、大気の継続時間が降水と大気のエネルギーの比SLによって短くなると量子効果が現れること、量子効果は窒素分子であること、窒素分子を量子効果とすると、大気中の窒素と酸素の比率が理論的に求まり、大気の中にパラメータSR、SL、ΔC/Cが存在することを示すことができること、降水日数、大気日数、それらの回数は定数であること、が分かった。


14. 参考文献

1) 長岡洋介 1999 第1版第6刷 岩波基礎物理シリーズ7 統計力学 岩波書店 31-36pp
2)3) 小倉義光 1995 初版第16刷 一般気象学 東京大学出版会 40pp、58pp
4) 長岡洋介 1999 第1版第6刷 岩波基礎物理シリーズ7 統計力学 岩波書店 108-109pp
5)6) 小倉義光 1995 初版第16刷 一般気象学 東京大学出版会 11pp、11pp
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