気象と統計力学(S3-2)

S3-2 検証と考察及び結論


観測値の整理

降水量はアメダスの日降水量をもとにし、降水量は日降水量が連続している期間を合計したものであり、降水回数はその連続した降水期間の年間の個数である。
観測値の整理方法は、年間の降水量の集合を4mm/回づつに区切って、40mm/回までの10階級とし、それぞれの階級の度数を数える。それを1986年から2000年までの15年間調査し、平均し、過去15年間の揺らぎ、数学的には標準偏差σ、を分散σ2から求めた。同じ調査を中国、四国、九州、沖縄も含めた、17箇所の観測所で行い、それらの平均と一覧を、表1.と表2.に示した。

降水量分布f(x)による検証

揺らぎの理論値と、中国、四国、九州、沖縄も含めた、17箇所の観測所の過去15年間の気象観測値から、各観測所の揺らぎを求め、それを平均した場合と、17箇所の過去15年間の気象観測値全てから揺らぎを求めた場合の結果を表3.及び図1-1.と図1-2.に示した。
図1-1.の場合は古典統計の揺らぎを、図1-2.の場合は量子統計の揺らぎを示しているが、各観測所の揺らぎの平均も全ての観測値の揺らぎも4mm以下の降水量で理論値から大きくずれていることがわかる。









考察

揺らぎが正規分布f(y)、f(y)は度数である、をしていると考えると、平均値cと標準偏差σの関係は次のとおりである。
$f(y)=\displaystyle\frac{1}{\sigma}\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{-(y-c)^2/2\sigma^2}$
表3.の4mm以下の降水量では、古典統計の場合はc=σ2=14.85となっているはずであるがσ2=10.96、量子統計の場合はσ2=18.51となっているはずであるがσ2=15.19である。両者とも平均値の位置で、本来の揺らぎの分布より少し痩せて背高のっぽの分布をしていることになる。
    
古典統計の場合どの程度痩せているのか計算してみると、平均値の位置でのf(y)は、
$f(y)=\displaystyle\frac{C}{\sigma}\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2\pi}}$
C=60.19、σ=3.311より、f(y)=7.252
$7.252=\displaystyle\frac{C_S}{\sqrt{14.85}}\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2\pi}}$
$C_S=70.05$
$\Delta C=70.05-60.19=9.86$

観測個数が9.86個少なくなっている。$\Delta C=60.19*0.1974/1.1974=9.92$とよく一致している。

4mm以下の降水量の揺らぎのずれが、理論値と観測値のずれの原因かどうかを検証すると次のとおりである。
自由度1のボルツマン分布を用いた場合と、中国、四国、九州、沖縄も含めた、17箇所の観測所の過去15年間の気象観測値から、各観測所の降水量分布f(x)を求め、それを平均した場合と、f(x)の観測値の4mm以下の降水量の降水回数ciと全ての降水回数Cを次のとおり変更した場合を、表3.と図2-1.に示した。
4mm以下で平衡点が移動したと考えて、
$c_i=3.311^2+9.86=20.82$
$C=60.19+9.86=70.05$
$\sum_0^\infty f(x)=1$
理論値と修正した観測値が良く一致している。

同じように、量子統計の場合を考察する。
量子統計では、ΔC=60.19*0.1974=11.88。観測個数が11.88個少なくなっている。
自由度1のボーズ・アインシュタイン統計を用いた場合と、中国、四国、九州、沖縄も含めた、17箇所の観測所の過去15年間の気象観測値全てから降水量分布f(x)を求めた場合と、観測値の8mm以下の降水量の状態数を次のように修正した場合を、表3.と図2-2.に示した。
4mm以下の平衡点が移動し、量子効果を考慮して、
$15.19+9.86*1.1974=26.996$
4~8mmの平衡点が移動し、量子効果を考慮して、
$8.85+(11.88-9.86)*1.1974=11.27$
$C=60.19*1.1974=72.07$
$\sum_0^\infty f(x)=1
理論値と修正した観測値が良く一致している。



結論

中国、四国、九州、沖縄も含めた、広い範囲で平均降水量がλ/2=30.30kgであり、この広い範囲全体が、降水回数が平均値を中心として揺らいでいる、一つの巨大な平衡系になっていると考えることが出来る。また、各観測所の揺らぎは古典統計の、系全体の揺らぎは量子統計の揺らぎを示す。系は古典統計と量子統計を同時に含んでいる。他には、降水回数は理論値に比べると約12個少ない。年間降水回数のほぼ20%である。これは量子効果分に等しい。理論値からずれた降水回数は観測されていないから、観測されない降水の範囲、0.5mm以下、であれば降水量の平均値が変わるはずである。しかし、観測値を修正して理論値とほぼ一致させた場合でも降水量の平均値は変わらない。従って、降水以外のもの、大氣の降水回数である、と考えることができる。観測されない降水回数が大気の降水回数であるとすれば、大氣もまた同じ平均降水量を持つことになる。降水と大気を含む、降水と大気で構成された、新しい力学系が必要である。

 

 

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