気象と統計力学(P8)

P8  3個のパラメータの関係の導出



13. SR、SK、SLの関係

降水継続時間が短くなるとボーズ・アインシュタイン統計の量子効果が現れることを示して、28)式を導く。


29)式と34)式より、
$\displaystyle\frac{\langle x\rangle}{k_{\theta}}=\displaystyle\frac{1}{2}S_L^2(\displaystyle\frac{A}{C})^2$                      35)
35)式は両辺にCをかければ、先ほどαλを計算する時に用いた次の式と同じである。
$\displaystyle\frac{\lambda}{2}C= \int_0^\infty \lambda t^2f(x)dt}\int_0^\infty Cf(t)dt$

上式右辺第1項は平均降水量kθを、右辺第2項は量子効果CR/Cを表している。いま、36)式のAを年間の雨の降った日の個数、Cを年間の一雨の個数、と捉えれば、35)式の右辺は無次元となり、35)式のkθと上式の右辺第1項は等しくなる。従って、35)式から、
$\displaystyle\frac{1}{2}S_L^2(\displaystyle\frac{A}{C})^2 =\displaystyle\frac{C_R}{C}$ 36)
SL=0.76646、A=121.75、CR/C=1.1974としてCを計算すると、C=60.30となって、先に計算したC=60.40とよく一致する。

36)式は量子効果の定式化になっている。系の降水と大気のエネルギーに比があれば、継続時間が短くなって、SLは1以下だから、ボーズ・アインシュタイン統計の量子効果が現れることが分かる。また、35)式の右辺が1.1974であれば、平均降水量kθは観測値よりも小さくなっていることが分かる。

量子統計がフェルミ・ディラック統計とすると、27)式を変換して、
$f(t)= \displaystyle\frac{2}{\sqrt{\pi}}\displaystyle\frac{1}{e^{t^2+\alpha_{\lambda}}+1}$

αλ=0.4789として、f(t)を0から∞までtで積分すると、量子効果CR/Cは0.43785となって、36)式からC=60.40が導けなくなる。また、35)式のkθは0.25835となって<x>=λ/2を満たさない。
       0.25835*0.43785=0.1131
αλ=-0.5829の時、量子効果CR/Cは0.84335、kθ=0.5929となって、35)式の<x>=λ/2を満足するが、36)式からC=60.40が導けない。
              0.84335*0.5929=0.5000
また、αλ=-1.3824の時CR/C=1.1974となるが、35)式のkθの項の係数は1.0005となって、<x>=λ/2を満たさない。
       1.1974*1.0005=1.1980
ボーズ・アインシュタイン統計の場合は、αλ=0.4789の時、36)式のCR/Cは1.1974であり、35)式のkθの項の係数が0.4176であるから、<x>=λ/2を満たす。
       1.1974*0.4176=0.5000
フェルミ・ディラック統計は35)式と36)式のどちらかしか満たさないが、ボーズ・アインシュタイン統計は35)式も36)式も満たす。従って、新しい力学系は降水継続時間が短くなると量子効果はボーズ・アインシュタイン統計の量子効果となる。
また、付論前編に大気の継続時間が降水と大気のエネルギーの比SLによって短くなるとボーズ・アインシュタイン統計の量子効果が現れることを示した。自由度1の降水の量子効果の議論がそのまま自由度2の大気に適用できることを示した。


35)式が成立していないと、36)式が導けない。36)式が成立していないと、28)式が導けない。36)式から28)式を導く。いま、
$\displaystyle\frac{A}{2C}=\displaystyle\frac{C_R}{C}\displaystyle\frac{S_K}{S_R}$             37)
Aは量子統計に関係し、Cは古典統計に関係しているとして、上式のように置いてみる。A=121.75、C=60.40、CR/C=1.1974、SR=1.652、SK=1.395とすると、左辺は1.00786、右辺は1.011である。      
36)式に代入すると次の28)式が導かれる。38)式として再掲する。
$S_L^2\displaystyle\frac{A}{C}=\displaystyle\frac{S_R}{S_K}$                 38)

エネルギーの比SLはAとCの比を通して量子統計のパラメータSRと古典統計のパラメータSKの比として現れる。系には量子統計と古典統計が共存することとなる。本論後編において37)式と38)式を検証する。

新しい力学系では時間が短くなって、量子効果が現れ、系は2重構造となる。系にエネルギーの比が存在すると時空を小さくして量子効果が現れると考えることができる。降水量分布を解析すれば、新しい力学系では空間も短くなっていることを示すことができる。
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