気象と統計力学(P4)

p4 古典統計と量子統計
7. 古典統計と量子統計 

新しい力学系は量子効果を持っているから、古典統計と量子統計を導く。
いま、降水回数C、体積V、降水量のパラメータλの系を1個考える。そして、降水回数C個を系の微視状態iに割り振る方法を考えよう。この方法は2とおりあって、重複を許さない配置WFと重複を許す配置WBがある。C個の降水からci個の降水を選び出すWFとWBの数は次のとおりである。
                    W_F = \displaystyle\frac{C!}{c_i!(C-c_i)!}$
                    W_B = \displaystyle\frac{(C+c_i-1)!}{c_i ! (C-1)!}$
例えば、C=3、ci=2とした場合、
      WF=(1,1,0)(1,0,1)(0,1,1)=3 
      WB=(2,0,0)(1,1,0)(1,0,1)(0,2,0)(0,1,1)(0,0,2)=6 
WFを用いればフェルミ・ディラック統計が、WBを用いればボーズ・アインシュタイン統計が導かれる。新しい力学系はボーズ・アインシュタイン統計の量子効果を持っているから、本論ではWBを用いる。フェルミ・ディラック統計では量子効果が計算できないことを後ほど示す。

 微視状態iに対する降水の数はci、降水量はxiとする。微視状態iと降水の数ciは離散的であるが、降水量xiは中心値であり、ある程度の幅を持っているとする。降水の数ciはその幅に含まれる微視状態の数Δiに配置されるものとする。 全ての微視状態について考えれば配置の数Wは、 
                     $\ln W = -\sum_i \ln\displaystyle\frac{(\Delta_i +c_i-1)!}{c_i!(\Delta_i-1)!}$
スターリングの近似式を使えば、1/Δi=0とおいて、エントロピーSは、
                     $S=\ln W$
                       $ = -\sum_i \Delta_i ((1+\displaystyle\frac{c_i}{\Delta_i})\ln(1+\displaystyle\frac{c_i}{\Delta_i})-\displaystyle\frac{c_i}{\Delta_i}\ln\displaystyle\frac{c_i}{\Delta_i})$
エントロピーSが最大となる確立は、次の条件の下で、
                     $\sum_i c_i =C$      
                     $\sum_i c_i x_i = Q$
 ラグランジュの未定係数法を用いて得られる。
                     $S=\ln W$
                     $ f_1 =\sum_i c_i -C$
                     $f_2= \sum_i c_i x_i -Q$
 これをciで微分すると、
                     $d\ln W=\displaystyle\frac{\partial \ln W}{\partial c_i} dc_i$
                     $df_1 = \sum_idc_i$
                     $df_2 = \sum_i x_i dc_i$
df1に-α、df2に-βをかけ、dlnWとの和を0とおく。
                     $ 0=d\ln W -\alpha df_1 - \beta df_2$
従って、
                     $0= \sum_i(\ln(1+\displaystyle\frac{c_i}{\Delta_i})-\ln \displaystyle\frac{c_i}{\Delta_i}-\alpha - \beta x_i)dc_i$
全ての微視状態を独立とすると、 
                     $0= \ln(1+\displaystyle\frac{c_i}{\Delta _i})-\ln\displaystyle\frac{c_i}{\Delta_i}- \alpha-\beta x_i$
β=1/λより、
                     $\displaystyle\frac{c_i}{\Delta_i} =\displaystyle\frac{1}{e^{x_i/\lambda+\alpha}-1}$
これは微視状態1個を占める平均的な降水回数と考えられるから、
                     $c_{iR} =\displaystyle\frac{1}{e^{x_i /\lambda +\alpha}-1}$  5) 
xが大きいときは、
                     $c_{iK} = \displaystyle\frac{e^{-x_i/\lambda}}{e^{\alpha}}$    6)
5)式を量子統計、6)式を古典統計と呼ぶ。 降水量xが平均降水量以上だと5)式と6)式は一致する。従って、平均降水量以下だと量子効果を確認することができる。 
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